岐阜県は、ものづくりの伝統が息づく地域として知られ、刃物や陶磁器などと並び、繊維産業もその一翼を担ってきました。その中でもアパレル分野では、高度経済成長期に全国有数の生産拠点として栄えました。今回は、繊維産業が支えた岐阜のアパレルの歴史をたどりながら、現在の姿とその再生への取り組みに迫ります。
岐阜産業のアパレルが歩んだ歴
戦後間もない岐阜駅前には、引き揚げ者たちが開いた古着店が並び、そこから岐阜のアパレル産業が始まりました。布の仕入れから縫製・販売までを行う体制が整えられ、既製服の街として発展していきます。昭和24年には繊維問屋の連合会が発足し、東京・大阪に並ぶファッション産地と呼ばれるようになりました。昭和36年には「岐阜メード秋の祭典」が初開催され、全国的にも注目を集めました。昭和40年代には売上が1,000億円を突破し、岐阜の主要産業として黄金期を迎えたのです。
岐阜のアパレルの発信地は？
岐阜のアパレル産業の発信地は、岐阜駅前から繊維問屋街として発展した「岐阜繊維問屋街や、イベントの舞台となった岐阜産業会館などが中心です。とくに岐阜メード秋の祭典や岐阜ファッションフェスタ（GFF）といった大規模展示会は、岐阜のファッション情報を全国に発信する場として大きな役割を果たしました。また、柳ヶ瀬商店街やハルビン街と呼ばれる地域も、かつての繁栄を支えた重要な拠点でした。
アパレル産業の現在地
かつて全国に名を馳せた岐阜のアパレル産業も、バブル崩壊やファストファッションの台頭といった時代の波にさらされ、徐々に規模を縮小していきました。しかし近年では、伝統ある縫製技術を活かした高品質な製品づくりや、国内外のブランドとの協業によって、新たな展開を模索しています。また、若手デザイナーや地域密着型のブランドも登場し、岐阜発のファッションを再び発信しようという動きが見られます。地元企業と行政が連携し、産業の再興に取り組む姿勢が注目されているのです。